映画紹介

「農民とともに」から「地域住民とともに」へ!回診の様子

■あらすじ解説

「農民とともに」から「地域住民とともに」へ
昔の佐久総合病院長野県佐久市(旧南佐久郡)佐久総合病院。終戦5か月前、信州千曲川沿いにある小さな病院に青年医師・若月俊一(1910~2006)が赴任したことから、この物語は始まる。周辺の農山村への「出張診療」、「全村健康管理」(今でいう健康診断を軸にした健康予防管理活動)を全国に先駆けて行ってきた。また、健康に対する啓蒙活動の一環として取り組んだ「演劇」や「病院まつり」は地域づくりにつながっていく。

病院主催の演劇の様子昭和の高度経済成長以降の農村地域の過疎・高齢化には、いちはやく対応し、医療と福祉の垣根を越えた活動を展開し、住民のニーズにこたえる=「二足のわらじ」(高度専門医療と地域密着医療)を履き展開してきた佐久総合病院。その実践につらぬかれた志は、いまも多くの人々の心をひきつけている。しかし今、そうした活動を続けてきた佐久総合病院は再構築の時代を迎えている。はたして若月俊一が築いた農村医療の歴史は引き継がれていくのだろうか?


~30万フィートにおよぶフィルム~
映画部佐久病院映画部では、1950年代から30数年にわたり、出張診療、手術、患者会、啓蒙演劇、病院まつり…など、ありとあらゆる取り組みを16㍉フィルムで記録し続けてきた。その量は約30万フィートにおよぶ。歴史的にも貴重なフィルムと、当時を知る人々、現在の病院関係者らの証言とともに、21世紀のいま、未来ヘ向けた映画としてよみがえる―――


■映画制作のきっかけ

~記録されたフィルムのアーカイブ化を受け、後世に遺す作品として~
佐久総合病院には映画部があり、16㍉フィルムのカメラで本格的に撮影をしていた。その活動は1950年代から1990年初頭まで続き、遺されたフィルムはネガフィルムだけでも23万ftを超え、初期のリバーサル分を併せると30万ftに及んだ。その他にも、多くの映像人たちが、佐久総合病院、あるいはその周辺の農山村を舞台に記録映画、文化映画を生み出してきた。若月俊一先生はそうした映像人との交流を歓迎し、時には医療や福祉の啓蒙活動の一環と考え、映画の監修者にもなった。

2008年からそうしたフィルムをデジタル化する『甦る記憶を農村医療と地域再生の礎に!〜佐久病院映画部が捉えた映像記録からの再発見〜』という映像アーカイブプロジェクトをトヨタ財団の研究助成を受けて始めた。本映画の共同制作になっている佐久総合病院映画部農村医療の映像記録保存会という団体は、そのプロジェクトを遂行するために組織された。「農村医療」、あるいは「農村医学」の歴史を、そのプロジェクトでデジタル化したアーカイブ映像を基に辿ってみたい、そう考えたことからこの作品は生まれた。


■登場紹介

若月俊一(1910年6月26日~2006年8月22日)
若月俊一東京大学医学部卒。佐久総合病院の院長としておよそ半世紀にわたり活躍。住民と一体となった運動としての医療実践に取り組み、農村医療、農村医学の礎を築いた。また外科医として先駆的な脊椎カリエスの手術などもおこなったことでも知られる。その活動は、日本のみならず、国際的な広がりを見せ、東洋のノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞(1976年)。農民の生活に密着したフィールドワークや研究をおこない、日本のみならずアジア諸国の農村医療のモデルとなっている。

≪受賞歴≫
勲二等旭日重光章、マグサイサイ賞(フィリピン)、農林大臣表彰、保健文化賞、長野県知事表彰、日本医師会最高優功賞、信毎特別賞等受賞

≪歴任≫
国際農業農村医学会名誉会長兼事務総長、社団法人日本農村医学会理事長、日本農村医学研究所長、社団法人日本病院会副会長、全国公私病院連盟常務理事等

≪主な著作≫
「村で病気とたたかう」(岩波新書)、「信州の風の色」(旬報社)、「農村医療にかけた30年」(日本図書センター)、「いのちを耕す」(対談:住井すゑ/労働旬報社)、「若月俊一の遺言」(家の光協会)、「高齢化社会の在宅ケア」(岩波ブックレット)、「五十歳からボケとたたかう」(Jブックス)、他多数


JA長野厚生連 佐久総合病院 〒384-0393長野県佐久市臼田197番地

南佐久郡23ヶ町村のうち13ヶ町村が無医村だった昭和19年、農協の前身組織の病院として発足。若月医師赴任後の戦後すぐから、農村への「出張診療」をはじめ、農民を病から救い健康を守るための「全村健康管理」(今でいう健康診断を軸にした健康予防管理活動)を全国に先駆けて行ってきた。また、昭和の高度経済成長以降の農村地域の過疎・高齢化にいちはやく対応、医療と福祉の垣根を越えた活動を展開。そのとりくみは医療・福祉にとどまらず、地域問題の面からも幅広く注目されてきた。そして今、佐久総合病院は、高度医療と地域医療の両立へ向け、更なる病院再構築の時代を迎えている。



佐久総合病院 http://www.sakuhp.or.jp/ja/index.html